子育てをほぼ終えた今、手元に残っている絵本がたった1冊あります。
20年間で何十冊と読み聞かせた絵本。ほとんどは人に譲り、手放しました。それでも、どうしても手放せなかった1冊。汚れてシミがあり、表紙は色褪せ、中身は折れている箇所もある、小さくて薄い絵本です。
松谷みよ子さんの『いいおかお』

赤ちゃんのときからの読み聞かせに始まり、20年後の今も私のそばに寄り添ってくれているこの絵本が、私の子育ての原点です。
この記事では、絵本『いいおかお』の魅力を実体験をもとにお伝えします。たった数ページの絵本を読み終えたときには、優しい心で満たされるはずです。
松谷みよ子『いいおかお』とは?あらすじと基本情報

文は松谷みよ子さん、絵は瀬川康男さん。1967年4月、童心社より初版発行。『いないいないばあ』と同時に刊行された、200万部を超えるロングセラー絵本。全約20ページの、小さくて薄い絵本です。
ふうちゃんがひとりで「いいおかお」をしていると、ねこが「いいおかお みせて」とやってきます。ねこも、いぬも、ぞうも、みんなまねっこして「いいおかお」。次々と笑顔が広がっていく、シンプルだけれど温かいストーリーです。
文はとても短いですが、美しい言葉の響きが心地よく、あたたかいユーモアにあふれています。 瀬川康男さんによる優しい色づかいのイラストも、この絵本の大きな魅力の一つです。
『いいおかお』20年間読み続けた絵本

松谷みよ子さんの絵本といえば、『いないいないばあ』がとても有名です。もちろん、こちらも何度も読みました。でも私が一番そばに置き続けたのは、『いいおかお』でした。何十回読み聞かせたか、もう数えることもできません。
何度手に取っても、また読みたくなる。たった数ページの絵本ですが、そのなかに大きな愛情が詰まっています。「いいおかお いいおかお」読むたびに、呪文のように口から出てくる言葉です。
息子が大きくなり、たくさんの絵本を人に譲りました。何度か、この本も手放そうとしました。汚れてシミがあり、表紙は色褪せ、中身は折れている箇所もある。それでも、どうしても手放せなかった。
その理由を言葉にするのは難しいのですが、きっとこの絵本が私自身にとっても必要だったのだと思います。
絵本『いいおかお』の魅力|笑顔が広がる理由

笑顔は連鎖します。
絵本の中で、ふうちゃんの「いいおかお」はねこへ、いぬへ、ぞうへと広がっていきます。たった数ページのストーリーが、笑顔の連鎖をシンプルに教えてくれます。笑顔はいつの時代も、いつまでたっても人の心を動かす原動力です。
息子にいつも笑顔でいてほしい。そう願いながら読み続けた20年間でしたが、ある日気づきました。これは息子への願いであると同時に、自分自身への問いかけだったのだと。
私自身が「いいおかお」だろうか。
うまく歯車がかみ合わない時期がありました。自分がイヤになる。何もうまくいかない。気持ちが荒れている。そんなとき今思い返せば、私が「いいおかお」ではありませんでした。くるった歯車は自分でかみ合わせるしかない。その気づきをくれたのも、この小さな絵本でした。

私が笑顔でいること。それはきっと、家族にも周囲にも伝わっていく。
絵本が支えてくれた20年間の子育て体験談
息子が生まれたとき、私は何が正しい子育てなのか、まったくわかりませんでした。初めてのことばかりで、毎日手探り。それでも「絵本だけは読もう」と決めていました。
人気の絵本を検索しては購入し、毎月の定期購読でも届く。気づけば手元にたくさんの絵本が並んでいました。今日はどの絵本を読もうか、と迷うのが密かな楽しみでした。絵本のやさしいイラストと言葉は、慌ただしい子育ての中で、私自身の癒しでもあったのかもしれません。
正直に言えば、自己満足だったのかもしれない、と思うこともありました。赤ちゃんのころ、幼児のころ、息子はこの絵本を理解しているのだろうか。おもしろいと感じているのだろうか。確かめる術はありませんでした。
それでも、読み続けた私がいます。
20年子育てをしてきた今も、子育ての正解はわかりません。絵本を読み続けたことが息子にとってプラスだったのか、心理学者でもわからないかもしれない。息子自身に読み聞かせの記憶があるわけでもありません。
でも私は信じています。あの毎日が、息子の中の見えないどこかに、そして私自身の中にも深く残っていると。
子育てに正解はないけれど、「これだけはした」と言えることがある。それだけで十分だった、と今は思います。
『いいおかお』は多くの方におすすめ|赤ちゃんから大人まで

『いいおかお』を読み続けたのは、息子のためだけではなかったと振り返っています。笑顔でいたいと願う自分自身のために、この絵本が必要だったのだと。20年前に手に取ったこの小さな絵本は、今も変わらず私のそばに寄り添ってくれています。
この絵本を届けたい方がいます。
これから出産を迎える方、生まれたばかりの赤ちゃんと向き合っている方、子育て真っ只中で必死に毎日を過ごしている方。そして、子育てとは関係なく、今日ちょっと疲れてしまった方にも。
小さくて薄い、たった数ページの絵本です。でも読み終えたとき、きっと「いいおかお」になっているはずです。

ふとこの絵本を手に取り、20年前を思い出しながら、私の思いを綴りました。私がお届けしたい素敵な1冊です。ぜひ手に取ってみてください。



